こんにちは。小葉茶マミです。
山本文緒さんは直木賞受賞作家。今まで山本さんの著書を読んだことはなくて、今回のエッセイ「無人島のふたり」は何かで紹介されていたので図書館に予約していました。
1962年生まれの山本さんは、悲しいことに膵臓がんで2021年10月に亡くなられています。同年4月に「膵臓がんのステージ4b」「残された寿命は4か月」と診断され、5月から綴られた日記がこの本です。遺作・絶筆といえます。
GW前半に(悲しくて)ササッとしか読めませんでしたが、読後に山本さんの文字に込めた思いに、「しっかりと読みたい」と意を決してGW開けに再読しました。
実は、山本さんは亡くなった次の月に59歳の誕生日でした。今の私、来月59歳を迎えるのです。この本を手に取った私の人生の長さと、著者の生きた歳月が同じって・・・ このタイミングは(オーバーだけど)神様の計らいなのかもしれません。
日記では、悪化していく体調、死期が刻々と近づいている心の内、周囲の人たちへの感謝と優しさに溢れています。そして、読み進めるほどに残りのページが少なくなって、それは山本さんの命が尽きるということでページをめくる手が震えました。
お見舞いの人たちが涙した日の日記より:「人が私のために泣いてくれると、その人の中に私が生きている気がしてじーんとする」
胸に深く深く入っていく言葉です。
日記の終わり頃は、数回「明日また書けましたら、明日」と日記が締めくくられています。病魔に苦しみ明日が来る保証がない中で、「明日も書きたい」と信念を燃やし続けていた山本さん。
死に対しての残酷さや恐怖を語らず、死を悲しむ人たちへ、そして読者への優しさに溢れているこの日記を綴ってくださって感謝です。
心から著者のご冥福をお祈りします。
そして、山本さんの著書を読んでみたいと思ってます。
それでは、ごきげんよう~